CDが出る前には当たり前にあったLPレコードだけど、最近のアルバムではCDしか発売されないことがほとんどだ。再生できる機器が一般的に出回ってないので無理もないが、最新の中島みゆきのアルバム「組曲(Suite)」はなんとLPレコードのアナログ盤もリリースされた。
最低のアナログと最低のデジタルでは最低のデジタルの方が音が良いけど、最高のアナログと最高のデジタルでは最高のアナログの方が音が断然良い。最高のアナログだと、柔らかく厚みのある音で、長時間聴いていても疲れない自然な音なのだ。
中島みゆきのアルバムは過去にも「ドルビーサラウンド」「APO版のCD」「SACD」「ブルーレィでのハイレゾ5.1ch音源」など最新のフォーマットで音質を追求した姿勢を見せてきた。その都度、新しいハードウェアの投資を迫られてオーディオシステムの入れ替えを余儀なくされてきた。
今回も原点回帰のアナログならではの音の良さということで楽しみにしてきた。発売前に自分のアナログのレコードプレーヤーを久々に動かしてチェックしたら、なんと壊れてしまっていた。長期間回していなかったのでグリス、オイルが切れてしまったようで、ターンテーブルを回すと変な音がする。まともに動く状況だったなら、迷わずLPレコード(アナログ)を買ったのだけど、この状態だと躊躇する。もちろんジャケット写真の大きさ、歌詞カードの大きさ、手に取った重厚感などはCDやダウンロード販売にはない魅力だけど、再生できないのも、ちょっと複雑だ。
限定生産だから、売られているうちに買わないと入手できなくなってしまうが、その前に本格的なピュアオーディオで聴いてみるチャンスが訪れた。

アナログ盤の「組曲(suite)」のジャケットを再生するオーディオシステムの前に置く

ソースに含まれている音をなるべく忠実に再生できる本格的なオーディオシステム

ターンテーブルの上に乗せて、いよいよ再生
なるべく先入観を持たないように客観的に聴いたけど、正直言ってがっかりした。アナログならではの厚み、音の深さが感じられずに、CDっぽいデジタルっぽい音なのだ。綺麗に作り過ぎた優等生的な音で、泥臭さというか迫力が感じられなかった。
「再生するオーディオシステムがショボいから」ということはない。試しに他の女性ボーカルのアナログレコードを何枚か聴いてみると、明らかに気持ち良さの次元が違う。

貴重なCarol Kidd "ALL MY TOMORROWS"の初回プレスアナログ版
せっかくアナログレコードを出しても、CDみたいな音ならば、そんなことしないで96KHz, 24bitのハイレゾ音源で出して出して欲しいと強く思う。
それも最新アルバムだけでなく、過去の全アルバムを。ハイレゾだけだと扱いに困る人もいるだろうから、MP3とセットのハイブリッドモデルが良い。過去の全アルバムのダウンロードは実質的に難しいので、SDカードなどにファイルを入れて、なおかつジャケット写真や歌詞カードはLPレコードサイズのブックレットだと最高だ。そういう全曲集が出たら迷わず大人買いする!
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